銀座デビュー

水商売は、上野でキャンパスクラブを半年間、その後は派遣キャバクラを転々と…経験はあったものの、銀座の街ははじめて!

お水の最高峰の店が揃う街で、どんな猛者が揃っているかと思えば案外そうでもなかったわ。
もちろん綺麗な人もたくさん居たけれど、そうでない人もちらほら。 
そして何故か椿鬼奴に似てる人がたくさんいた!!綺麗な人半分、椿鬼奴半分くらい?
みんなちょっとノーズシャドウ入れすぎなんじゃない…??それとも整形のせい??
やっぱり鼻だけは弄っちゃだめね!!絶対に不自然になる。

でも、顔の造形はともかく肌はみんなすごくピカピカ!!
そして、ギャルからお色気お姉様からアイドル系までタイプは色々あれど、みんな男の人が好むであろう髪型、メイク、ドレスだった。
男の人の為の空間だから当たり前なんだけど、最近は外を歩くとサブカル系とか原宿系みたいな女の子がすごく多いから。
そういうキャラクター系の容姿の女の子が排除されて女女してる女しかいない空間にドキドキ♡!
私自身キャラクター女があんまり好きじゃないから、やっぱり女はこうでなくちゃ!って彼女達の花魁魂を心の底から賞賛したわ!

そして、接客を盗み聞きしてもやっぱり上手い!!そのへんはやっぱりプロ!!
いくら銀座で客層はいいといえども、痛客がゼロなわけじゃない。
お客さんに説教されても、下ネタふられても、さらりとイヤミのないセクシーな受け答え。
わたし、下ネタのかわし方が本当に苦手で。嫌がれば嫌がるほどヒートアップしていくし、相手が下ネタを言う心理ってやっぱり向こうも話題に困ってる時だと思うから。わたしとの話題に困った結果、誰も傷つけずにそこそこ笑いもとれる安易な話のネタとして下ネタが選ばれるんだろうと、よく自分の接客を反省してた。
でもお姉さんの接客を傍から聞いてて、下ネタは交わすよりも、相手の下ネタより更に上をいくようなことをさらっと言った方が、相手もまるで血の気が引くように下ネタを言わなくなることに気付いたの。でもそのテクニックをつかいこなすようになったらわたしの中で大事な何かが失われる気がするから気づきという段階にとどめておくことにするね。





そもそも、何故いきなり銀座で体入をすることになったかというと…


バドガールという銀座のキャンパスクラブに面接しに行ったものの、時給1200円と聞いて唖然。
その時給でこの仕事には手を出したくないな〜。と思って合格はいただけたけれども体験入店はキャンセルして、すぐに違う店舗に面接の予約をしたところで、背後からお兄さんに声をかけられて。

「お姉さん夜の仕事興味ないですか?」

普段は大抵スカウトなんて無視して通りすぎちゃうんだけど、あまりにもタイムリーすぎて、

「あ、これから面接行くところなんです!この歌屋ってお店どこですか?」

と、ちゃっかり道案内を要求。

「お姉さんならもっといいお店で働けますよ。僕○○グループのお店を紹介してるんですが…」

○○グループ!?水商売経験者なら誰もが知ってるようなグループで思わず興奮!!

わたしの興奮を察したのか、お兄さん、そこですかさず、
「よかったら店内見学だけでもいかがですか?」って。
それってなんだか夜の社会科見学みたいで面白そう!!

二つ返事で了承。



そこで連れて行ってもらったのが、○○グループのこれまた有名な会員制ラウンジ。
店内は見たことないほど広くて、豪華絢爛。置いてあるボトルも高そうなものばかり…はっきり言って別世界。
店長さんが来て、色々とお話を聞かせていただいた。
これが銀座の一流の高級店!!冷やかしで傍から見てる分にはすごく面白い!!見たことないものって面白い!!!!

若さもあってか店長さんがすごく気に入ってくれて、ウチでホステスとして働かないかと言ってくれたけど、それは流石にNO。
ここで足を踏み入れてしまったが最後。二度と抜け出せなくなる予感がしたから。

そしたら、ホステスではなくエスコートレディとしての働き方もあることを告げられた。何それ?
簡単にいうと、女性版黒服みたいな…。流石にラッキー回転は任されないけれど、お客様を席へお通ししたり、テーブルのケアをしたり、注文を受けたりすることが仕事。
基本的に席にはつかない。
それならいいかもと少し心が揺れたけど、とりあえず考えます。と答えておく。

階段を上がって店を出た後、どうせならもっと色んなお店が見てみたい!ってスカウトの人にお願いして、5店舗くらい見て回ったのかな?

ポルシェビルの中にあるお店とか、料亭みたいなお店とか、お店によって黒服や女の子のカラーも違うのがすごく面白かった。


19時くらいになって、これだけ面白いものたくさん見せてもらったんだから、せっかくだから最初のお店にエスコートレディとして体験入店してみようかなという気になってきて、それをスカウトのお兄さんに伝えた。
その日はストッキングもヌーブラも持ってなかったので買ってもらって、満を時して銀座デビュー。


貸していただいたドレスに着替えて、ヘアメイクもしてもらって、まずは最初にテーブルマナーをレクチャーしてもらった。
席につかないのに必要なの?と思いつつも一応熱心に聞くフリをしておいた。
水割りを作るときは反時計回りにマドラーを回す。
乾杯はお客様のグラスの腹のあたりで。
それくらい分かってるよー!!

レクチャーの前に、「噂に聞いていたとおり本当に綺麗な方ですね」という褒め言葉がなかったら鬱陶しくて聞いてられなかったかも。
そのへんは流石黒服。女の子を商品として動かす上で、女の子の扱い方よく分かってる!!

女の子って本当に褒め言葉に弱いと思う。自分も含め。
だから男の人は女の子に機嫌良く居てもらいたいなら、例え思ってなくたってバンバン褒め殺すべきだと思うわ。


話が逸れてごめんなさい。
レクチャーも無事終わって、フロアに出るとソファーにずらーっと並ぶ女!女!女!
玄人感満載の濃ゆーいお水の女が90人近くひしめきあってるんだから同じ空間にいるだけで思わず息苦しくなっちゃう!!


在籍150人以上で、一回の出勤で100人近くが出勤するって言ってたっけ…
話で聞くのと実際に目にするのとはやっぱり全然違うね。圧巻…

営業がはじまったらはじまったで、灰皿とかゴミとか回収しながら店内を好きにウロウロ。怒られない程度にお客様、キャストを観察。

あっという間に二時間半経ったみたいで、23時半の終電上がりで帰宅。

接客してない分いつもよりストレスは少ないはずなのに、何故か着替えてる最中どっと疲れが…心なしか頭痛まで。


店長には、「また出勤したい日が決まったら連絡します〜」と適当にお茶を濁して店を出ると、スカウトの人が店前まで迎えにきてくれてた。


今日どうでした?っていう質問に、「夜の社会科見学って感じで面白かったですね!ありがとうございました!」って答えたら苦笑いされちゃった。


駅まで送ってもらって電車で帰る。


あまりにも唐突な行動に自分でもびっくりしてるけど、帰る時間になって急にいけないことしちゃったかな?って罪悪感に苛まれちゃった。


こういう突発的な行動に出ちゃうところ、本当は良くないのかな?
痛い目みないうちに、もう少しいい子にならなきゃいけない?


でも、好奇心を満たしてくれる刺激的な一日だった…。